買い取られた自動車の追跡
2021/3/30
~パーツとしての再利用~
買い取られた自動車が、その後どうなったのか気になりませんか?
買い取りさせていただきました自動車のほとんどは解体され、主にパーツとして再利用されます。
必要なパーツを丁寧に取り外して製品にし、またどこかで使われているのです。
別れた愛車がどのようにパーツとして再利用されていくのかをご紹介しましょう。
弊社での販売比は、国内:海外=3:7
弊社で製品として生き返ったパーツの3割は国内で販売します。主に修理屋さんに販売し、あまり多くはありませんが、ディーラーさんや中古車屋さんにも需要があります。
残り7割は、ロシアやドバイ、カリブ海の島々、そしてアジア諸国(マレーシア・ミャンマーなど)からの注文を受けて輸出しています。※2021年3月27日現在 ミャンマーのお客様とは連絡すら取れていない状況です。
国内での販売事情
日本国内のパーツの在庫が管理されている専用システムで、必要なパーツの相場や在庫数などを参考に、需要があるか、希少性があるかなどを考えて取り外すパーツの選定をします。
一番よく売れるのは自動車の顔にあたる部分のバンパーやライト類です。自動車の顔は、綺麗にしておきたいですよね。
その次に車体左側のボディパーツがよく売れます。これは運転席側より見えにくい左側を当ててしまうことが多いためです。
車種では、現在よく見かける白色のプリウスが一番需要が高いです。
また、古くてきれいな自動車も、手に入りにくいという理由で需要が高くなります。例えば、90年代に製造された走行距離の少ないマーチのエンジンは人気です。生産台数が少なく希少価値が高いパオやフィガロもマーチと同じエンジンが搭載されているため、状態が良ければ高値で売買されています。
海外での販売事情
自国で自動車を生産していない国では、自動車は全て輸入に頼らなければなりません。自動車輸出国である日本から、新車も中古車も毎年たくさん輸入しています。自動車を輸入するということは部品も輸入しなければなりません。ということで日本からリサイクルパーツがたくさん輸出されています。
海外では自動車の使用年数に対して10年10万キロという考え方はないので、部品を交換しながら長く乗り続けられています。
日本のガソリンは非常に綺麗に精製されていることをご存知でしょうか?
海外では不純物を多く含んだガソリンが使用されており、このためガソリンフィルターの交換が度々必要です。日本国内で使用されていた自動車のガソリンフィルターは、綺麗なガソリンが使用されていたためほとんど汚れないので、海外で再利用される人気の部品です。
解体から発送までの様子をご紹介します
まず準備
はじめにすることは、自動車には2つの有害物質が含まれているので、その有害物質を取り除き無害にする作業です。
有害物質その1:フロンガス
1つ目の有害物質は、カーエアコンに使用されているフロンガスです。フロンガスは、オゾン層を破壊し、地球温暖化の原因とも言われ規制されているため、回収が必要とされています。
有害物質その2:エアバッグ内の火薬
2つ目の有害物質は、エアバッグに使われている火薬です。
エアバッグには、衝撃のときに瞬時に起動させるために火薬が使用されています。その火薬に点火し、無害にします。
点火すると、エアバッグの衝撃から体を守るためシートベルトが固定されるのですが、そのシートベルトが驚くほどカチカチに!
はじめて見たときには、点火した時の音の大きさに驚き、火薬の煙と匂いに衝撃を受けました。
少し話はそれますが、自動車の購入時、みなさんがお支払いされたリサイクル料を覚えておられますか?
リサイクル料には、「フロン類」、「エアバッグ類」、「シュレッダーダスト」3つのリサイクルにかかる費用と自動車リサイクルシステムを運営するための費用が含まれています。
①「フロン類」料金:フロンガスの回収と破壊に必要な費用
②「エアバッグ類」料金:エアバッグとシートベルトプリテンショナーの作動や回収などの費用
③「シュレッダーダスト」料金:最後に残った金属などをシュレッダーし、リサイクル可能な金属を選別した後に残るゴミをリサイクルする費用
①「フロン類」と②「エアバッグ類」の作業は、準備段階で、③「シュレッダーダスト」は、最終処理時に行われます。③は、のちほど紹介しますね。
解体から発送
つぎに丁寧にばらしていきます。ばらしたパーツは汚れを取ってきれいにし、傷がつかないように業務用の大きなラップで巻いて、種類ごとに分けます。そして、注文のあった商品から発送します。
国内発送の商品。段ボールは、ひとつひとつ形が異なるため既製品がなく、部品の形に合わせて手作りします。
海外に行くパーツは、コンテナーの中にきれいに詰め合わせ輸送します。隙間なく輸送の衝撃で壊れないように詰めるのは、とても技術がいるんですよ。
廃棄するものはふたつだけ
1台の自動車からは最大約90パーツがとれ、ほぼ捨てるところがありません。お金をかけて処分しなければならないのは、冷却水(不凍液)とツルツルで再利用できないタイヤだけなのです。
その他、シュレッターダストである、シートのクッションや内装のプラスティック素材などは、先出のリサイクル料③によって埋め立て処理されます。
おわりに
最近では、徐々に業者さんだけでなく直接個人の方が愛車を売りに来られることが増えています。
大事な愛車をきれいに洗車し、ガソリン満タンにして別れを惜しみながら持ってこられるお客様もいらっしゃいました。
そのお気持ちを大切に、まだまだ使えるパーツを再生して次のお客様へと繋げていきたいです。